先週末、お友達がお子さんと一緒にうちに遊びに来ました。
お友達の名前は綾ちゃん(仮名)、お子さんの名前は翔太くん(仮名)としますね。
ワタクシは独身が長かったので、30代の頃は同年代の友達よりも、もっと年下の友達と遊ぶことが多くて。綾ちゃんもそんな友達の一人で、まだ30代半ばです。翔太くんは3歳。
綾ちゃんは子供の頃英語はかなり苦手やったそうです。
それでも時々翔太くんと一緒に子供向けの英語の番組や動画を見ていると話してくれて、英語学習者としては何となく嬉しい。
そして同時に羨ましくも感じます。3歳から英語に触れてたら、スポンジみたく柔らかい脳がどんどん吸収するでしょうよ。翔太くん将来が楽しみね。いいなぁぁ。
🌳文法の知識は「予測」の力
綾ちゃんが言うには、ある英語学習動画の中に「あの丘へ行こう!」みたいなシーンがあったらしく。
「丘」って英語で”hill”って言うんやな~。みんなで”Go go hill! Go go hill!”って言いながら丘に向かうねん。
それ、 “Go go hill!” じゃなくて、”Go to the hill!“やと思うで。
多分 to と the がくっついて1語に聞こえたんでしょうね。 綾ちゃんは不思議そうな顔で、
え? もしかして、同じ動画見たん?
いやいや、見てへんけど。単に”Go go hill”は文法的におかしいから……
英文法の知識に乏しい綾ちゃんは
見てへんのに何で分かるん?
って不可解な様子でしたが。
でも、ある程度英語を勉強してたら、「~に行く」は go to ~だし、hill は名詞だから冠詞が必要で、この場合どの丘に向かうか決まっているから the を使うっていうのも分かりますよね。
🌳私の過去のリスニング修行
綾ちゃんとのお喋りから話はちょっと逸れますが。
オンライン英会話を始める前の私はリスニングが壊滅的にできませんでした。ある時これではいかんと一念発起して、リスニング力強化用のテキストを買って付属のCDを聞きまくってた時期があったのです。
※ちょっと調べてみたら、全く同じかどうかは分からないけどまだ売ってました。
この本の冒頭に著者からのメッセージみたいなのが結構な長文で載っているんですけどね、当時これが結構衝撃で。というのも、
もしあなたが”I studied English with him.”という文を聞いて「私は彼と一緒に英語を勉強する」だと間違えたとして、「studiedはstudyの過去形だから、覚えとこな」と言われたところで何の意味もない。あなたは既に study の過去形が studied であることは知ってるんやから。これは座学ではどないもならん。脳がその英文を聞いた時に「あ、studiedだから過去やな」と瞬時に理解できるようになるまで何度も何度もトレーニングを繰り返し、無意識的にパッと理解できる習慣(クセ)を付ける以外に方法はない
とか、こんな感じの事が書かれていたからです。
当時まだ私はオンライン英会話の存在も知らなかったんで、英語の勉強と言えば机に向かって英検の問題集を解くみたいなイメージでしたから、
トレーニングったって……どないしてやるねん
って結構絶望的な気分になったのを覚えてます。駅前留学はめちゃ高そうだし、でもじゃあ一体どこでそんな実践的なトレーニングやるんだよって思いました。
勉強=座学という固定観念からなかなか抜け出せないワタクシ、しばらくの間クッソ真面目に付属のCDを聞きながら、英文を一語一句完璧に書き起こすみたいな地道なトレーニング(ディクテーションっていうのかな?)をやってみたのでしたが、これでますます心砕かれまして。
当然ながら冠詞とか前置詞とかが、ボロボロ抜け落ちるわけです。
ホンマに発音してるか!?
って疑いたくなるくらい、聞こえない音がめちゃくちゃ沢山ありました。
実際、発音してないこともありますしね……him とか her の頭の h の音は脱落することが多いし、probably なんてネイティブは probly って発音するって言うし。
🌳人間の脳って結構すごい
でも、じゃあ何で発音されてないのに問題なく通じるのかっていうと、ここからはワタクシの勝手な想像ですが、おそらく聞き手が脳内で無意識に補ってるんだと思うのです。
前述の”Go to the hill”を例に見てみましょうね。
仮にこれが綾ちゃんのように、”Go go hill”に聞こえたとしましょう。とりあえず go と hill の2語は正しいと仮定すると、その2つの単語をつなぐのは to the 以外あり得ない。つまり、ちゃんと文法が頭に入ってたら、耳で聞き取るというよりもむしろ文脈から脳が勝手に補完している感覚に近いのではないかと。
あっ、もちろんネイティブや上級者の方は一語一句逃さず聞こえてるのかもしれませんよ。あくまでも中級レベルの私自身の感覚です。
少し前の記事で映画『シックス・センス』(The Sixth Sense)の中のセリフを取り上げて、ブルース・ウィリスの一言、
If that’s okay with you.
いいとも。
の冒頭の if がどうしても聞き取れなかったっていう経験談をご紹介しましたが、これもよくよく考えてみると、もっと上級者の方が同じセリフを耳にした場合、
・表情や口調から「いいよ」という承諾の一言であることは間違いない
・文が you で終わっているのだから、聞こえてなくても冒頭に if があるはずだ
と、文法の知識と話の流れから推測し、実際にはほぼ発音されていない if という単語を脳が勝手に補ってくれて、聞こえたように錯覚する……ってことが起こり得るのではないかと。
そそ、ちょっと近い(?)例として、「タイポグリセミア」っていうのがありますね。
ひとは もじを にしんき すとるき、 さしいょと さいごの もさじえ あいってれば、 じばんゅんが めくちゃちゃ でも しかっりと よめしまてう とこのと です。
これ、普通に読めちゃいますよね? 我々が文字を認識する時、各単語の最初と最後の文字が正しければ問題なく読めるっていう、これも一種の脳の特殊能力。
私たちが思ってる以上に、特に言語・語学に関しては脳って結構スゴいのかもしれなくて、気付かぬうちに色んなところでこの補完機能が働いているのかも。
だから、自分の耳で一語一句正確に聞き取る必要は、実はあんまり無いのかもしれません。もちろん、そういう練習がしたい人はすればいいと思うんだけど、でも「完璧に聞き取らなあかん」と思えば思うほど緊張しますよね。
私の場合、リスニングしている時っていくつかの聞き取れた単語につい注意が向いてしまって、それ以外の単語が余計に聞こえなくなっちゃうっていうのが長年の悩みだったんですが、オンライン英会話で気の合う先生に出会えたことで、
先生の言うてることを理解したい!分かりたい!
っていう猛烈な気持ちを持って喋っていたら、多分ものすごい集中力を発揮したのでしょう。いつの間にか苦手意識を克服していました。
結局何が言いたかったのかというと、基礎的な文法さえ身についていれば、あとはオンライン英会話を活用して英語で話す環境に慣れていけばいいと思うんです。そのうち徐々にリラックスして会話できるようになり、ちゃんと聞き取れなくても脳が手助けしてくれて、最終的に理解度も上がっていくもんなんですよ。個人的な経験談ですが。
『リスニング完全トレーニング』に書いてあった「脳がその英文を聞いた瞬間に「過去形や」と理解できるようになるまで何度もトレーニングを繰り返し、無意識的にパッと理解できる習慣(クセ)を付けなければならない」ってのも、そこまで時制を意識しなくたって、英語で会話してたら文脈から何となく過去の話やな・未来の話やなってのは割と簡単に推測できるので、別にそんな大層な話でも無かったやんって今は思いますし。
過去の自分自身には、こう言ってやりたい。
そんな神経質に「全部聞き取らなアカン」ってストレス溜める必要ないんやで。文法を味方につけたら、あとは一日も早くオンライン英会話を始めて場数をこなし、脳の自動補完機能を信じるだけ!