先日 YouTubeで、多分ワイドショーか何かの部分的な切り抜きだと思われますが、90歳のおじいちゃんが焼くアップルパイについての動画を見ました。
三重県に「潮騒」というケーキ屋さんがあって、おじいちゃんとおばあちゃんが長年ご夫婦で営んできたそう。特に人気なのがお店の看板メニューとも言えるアップルパイ。でも昨年おばあちゃんが亡くなって、惜しまれながら一時はお店を畳んだのだけど、息子さん夫婦の協力で営業を再開されたらしく、地元の人たちがこぞって買いに訪れる様子が映っていました。
味も当然おいしいんやろうけど、見た目もめちゃくちゃ美しくて芸術作品みたいや。とても90歳のおじいちゃん作とは思われへん
管理人:下村もお菓子焼いたりパン焼いたりするのが好きで、パティシエなんて憧れの職業ですけど、動画見てるととんでもない重労働。仕込みを早朝から始めて、アップルパイは開店と同時にどんどん売れていくからまた追加で焼くんですけど、ず〜っと立ちっぱなしで夜6時過ぎの閉店時にはヘットヘト。尊敬しかないよ、おじいちゃん。
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ちょうどオンライン英会話でトム・クルーズ先生のレッスンを予約していたので、おじいちゃんのアップルパイについて話す事に。
YouTubeで見た内容を簡単に紹介しながら、
こんなん見たら、私的にお菓子作りは絶対仕事としては楽しめそうにないわ
と話していると、先生が
確かに肉体労働ではあるけど、どやろな〜、何とかなるとは思うけどな。
それは phenomenon みたいなもんで、みんな気になって買いに行くから大忙しなんやろうけど、そこまで大変ではないやろ。
Phenomenon…って、何やったっけ。「現象」?
おじいちゃんは、現象みたいなもん……?
一生懸命頭の中で翻訳しようとしてたら、先生が続けて、
もしきみが、ベーカリーなりケーキ屋さんなり始めたとしても、まず90歳じゃないからまだ体力あるし、従業員を雇って一緒に作業分担してもいいやん。でっ、きみの店はこんな phenomenon にはならへんやろから、朝から晩まで延々パイを焼き続けるって事はないって。
また出てきた、phenomenon。さっきから、一体何を言ってるんヤロ〜?
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レッスン後、いくつか辞書を引いて phenomenon を調べてみたんですが、しっくりくる日本語がなかなか見つかりません。
ただ、ひとつ分かったのは、phoenomenon の形容詞・phenomenal には「驚くべき・非常に優れた」という意味があるという事。だから、名詞としても「驚くべき事」みたいな意味合いがあるのかなあと想像してみたり。トム・クルーズ先生の言ってたことに当てはめてみると……
I think that’s kind of a phenomenon.
それは驚くべき事みたいなもんやと思う。
フム~。何となく意味が通るような気もするし、でも日本語としてはシンプルに違和感が残るなぁ。でも、恐らく「スゴい」っていうニュアンスは含んでそうな感じですよね。
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その後、辞書以外にも英語学習者の方々が運営されてるコンテンツやSNSの書き込みなどを漁っていると、あるブログでようやくドンピシャな日本語を発見。
そのブロガーさんは「社会現象」という言葉を当てられていました。
例えば、大昔に人気を博したナタデココだったり、数年前ならタピオカミルクティーだったり、やや異様な流行り方をするのが社会現象ですよね。おじいちゃんのアップルパイの例は、社会現象と定義するには規模的にちょっと弱いかなぁとも思ったりするけど、でも三重県のその地域ではかなり有名なようだし、加えてTVで特集されたことでまた知名度が上がったようだし、地元にとっては社会現象と言えなくもないかと。
急にしっくり来たところで改めて英英辞典を眺めていると、phenomenon には「特別な資質・能力のために、しばしば非常に成功した人や物」という意味もあり、その例文として
The Beatles were a phenomenon.
っていうのを発見。
これ、まさしくトム・クルーズ先生が使ってたのと同じ phenomenon ですね。やっとスッキリしました。