最近またパン焼きにハマっている管理人:下村です。
少し前の記事でも触れましたが、「元パン職人が作る〇〇」というタイトルでレシピをUPされているYouTubeチャンネルを見つけてしまい、それがめちゃくちゃ分かりやすくて、ひたすら見まくってるうちにアレもコレも焼いてみたいって気持ちになっちゃいましてね。
今日も動画を横目に見ながら「はちみつバターパン」なるものを焼いていたんですが、途中で何度か広告が挟まってきました。ワタクシの視聴履歴や検索履歴から、YouTubeのアルゴリズムが
あっ、コイツは英語の勉強しとるな
って判断して、英語あるいは英会話関連の広告ばっかり流れてくるんですけど、まぁ、うざい。
でもパン生地をこねてる時って、手が汚れてるんで、広告をスキップしたくても出来ない時があるんですよね。うざいうざいと思いつつ垂れ流していたら、
定冠詞”the”を使うのは、その場にいる全員が「せーの」で同じものを指せる時です
ってのが聞こえてきまして。
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この「みんなが同じものを指せる時は”the”」っていうの、よく見聞きしますよね。a/an と the の使い分けの説明として一番多いのが、
- “a/an” = まだ特定されてないもの、初めて話題に出すもの
- “the” = その場にいる人たちみんなが「あ、あれね」って分かるもの
でっ、よくある例文が
- Close the door. → 周りにドアは1つしかないから、どれか分かる
- Look at the moon. → 月は1つだから、みんな同じもの指せる
- I saw a dog, and the dog was cute. → 最初に紹介して、2回目は特定できる
みたいなやつ。
でも、個人的にいつも思うのが、
別に、全員が一斉に指させるもの限定じゃないと思うけど
今から数年前、オンライン英会話でジャマイカ人のマキによく英作文の添削をしてもらってたことがあったんです。
日本語で読んで面白いなって思った記事や文章を自分なりに英訳してみて、話のネタとしてシェアすると同時に英作の添削もお願いするという、今思えばかなりメンドくさい事を当時はよくやっていました。
でっ、しょっちゅう冠詞の間違いを訂正されるので、
もー!分からん。何でこの場合”the”が正解で”a”は間違いなのか、さっぱり分からん!
って私が一度匙を投げかけた時に、マキが正しく
話し手と聞き手の間で、「どれを指しているのか」が共通の認識として特定できている状態やったら”the”やで。
って言ったんですね。けど、私は納得できずに、
いやいや、じゃあこの場合はどう?
マキが奥さんと外出する予定があります、奥さんはオシャレして出かけようと、お気に入りのネックレスを付けていこうと思い立ちました。けど、何故かそのネックレスが見つかりません。でっ、奥さんがマキに向かって
「あれ~?ネックレス見つからへんのやけど」
って言ったとするやん。奥さんはオシャレさんで、ネックレスは1つだけじゃなくていっぱい持ってるねん。
この場合、奥さん何て言うよ?
“Ah, I can’t find the necklace!”
って言うやろな
でも、マキはどのネックレスか分かってないんやで?奥さんネックレスいっぱい持ってるから。
この時点で既に「共通の認識として特定できている」っていう前提が破綻してません??
奥さんは”the necklace”って言ってるけど、マキは「どれのこと?」ってなるやん
うん。だから、”Which one is ‘the necklace’?”って聞くと思う
日本語でイメージすると、
奥さん:ネックレス見つかれへんのやけど。どこ置いたか知らん?
旦那さん:どのネックレス?
ってこういう状況ね。
要は、私が言いたいのはな、話し手本人だけが特定のネックレスを思い浮かべてる状況でも、”the necklace”って言うんやろってこと。この場合、”a necklace”って言うのはおかしいやろ
それはおかしい
ほれほれほれ。だから、やっぱり
定冠詞”the”を使うのは、その場にいる全員が「せーの」で同じものを指せる時です
っていう解説は大雑把すぎっていうか、ちょっと乱暴だとワタクシは思うわけです。
ワタクシが思うに、正確を期すなら「話し手本人がどれを指しているか特定できているなら”the”は使える」と説明すべきかと。
聞き手が実際に分かってるかどうかは、実は関係ない。
- 話し手がどれかを特定してる → the
- 聞き手が分からない → 聞き返せばいいだけ
さっきのネックレスの例で言うと:
- 奥さんは自分の中で「どのネックレス」か分かってる
- だから “the necklace” って言う
- 旦那さんが「え、どれ?」ってなっても、theの使い方自体は正しい
っていうのが正解になりますよね。
全員が「せーの」で指させるっていうのは、結果としてそうなるケースが多いっていうだけで、”the”を使う絶対的な条件ではないってのが、ワタクシが声を大にして言いたいことです。
だって実際にワタクシその説明で混乱しちゃったんだもの。
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別にさ、これを目から鱗の新発見!って言うつもりもないし、長く英語の勉強してる人にしてみれば「何を当たり前のこと言うとんねん」って思われるかもしれないけど、YouTube広告や英語学習者向けのサイトで「全員が一斉に同じものを指させる」っていう解説を見るたびに、「ちょっと待てコラ」って思っちゃうのでね……。
NHKのラジオ番組で講師として長年活躍されてるスティーブ・ソレイシィ先生が、
もし英会話中に”the”か”a”か迷ったら、「ン」と言っとけ
みたいな事言ってらっしゃいましたよね。冠詞に迷って話すのを止めてしまうくらいなら、曖昧でもいいからとりあえず「ン」で乗り切って、まずは会話を続けることを優先しようっていうメッセージだったと思います(あと特にネイティブスピーカーは名詞の前に冠詞が付いてないと何かが欠けてると感じて落ち着かない気分になっちゃうから……とも言ってたかな)。
それを聞いた時、個人的にはすごく励まされて、そっか完璧を目指す必要ないんだって思ったもんです。
とは言え、このまま冠詞の使い分けが全くできないまま一生を終えるのもやっぱり嫌だし、少しずつでも改善できるトコは直していきたいですしね。
以上、ただの徒然日記でした。