以前の記事の巻末に掲載した漫画で、10年くらい前台湾の九份を訪れた時に立ち寄ったタロイモ団子のお店の事を描きました。
その漫画の4コマ目がこちら。
この「大胆やな」という一言ですが、ごまかさず単刀直入に言うとニュアンス的には
雑やな。
みたいな感じと思ってください。というのもワタクシ、
もし日本のカフェに似たようなデザートがあったら、あったかいのと冷たいのそれぞれ別々に用意してそう
と想像したからです。
とは言え、ワタクシはちゃんと郷に入っては郷に従えの精神を持ち合わせていますんで、台湾のお店に日本と同じことをしろと要求する気はありませんし、現地のやり方を否定するつもりは一切ないんです。
なので、漫画内のセリフも「手抜きやな」や「大雑把やな」じゃなくて、「大胆やな」という言葉を使ってみたのでした。
ワタクシはいつも漫画を描いたら全セリフを英訳して、オンライン英会話で先生に見てもらっているのですが、上記のコマを訳そうと思った時、この
大胆やな
が非常に曲者でして。
直訳の “It’s bold.” では間違いなく意味不明でしょうから、
雑やな
のほうで考えてみることにして、「雑」という日本語にあたる英語を調べていると「ぞんざいな・手早い」という意味の cursory という単語を見つけたので、
It’s cursory.
と訳してみたんですが、それをオンライン英会話で先生方にチェックしてもらった結果を今回はご紹介していきたいと思います。
🍀
まずモンテネグロのイケメン講師・トム・クルーズ先生 に見てもらったのですが、該当の箇所で
It’s cursory? これ、どういう意味?
と尋ねられました。
えっと、台湾で冷たいデザートを頼んだらな、温かいシロップに氷の塊を放り込んだモノが出てきて、冷たいっていうより生ぬるくて。でっ徐々に氷が解けたら、めっちゃ味薄い汁になってもうて……
うーん、状況は分かったけど cursory は何か不自然やねんなぁ。
It’s kinda off-hand.
がいいかな。ここでの off-hand は「手抜き」って意味。
おぉ。ピッタリの表現ではないですか。
あ、やっぱり
It’s kinda slapped together.
の方がいいかも。slapped together は「急いでテキトーに作った」って事。
ほぉ。どっちでもしっくり来ますね。さすがはトム・クルーズ先生、色んな表現をご存知です。
♪
次にイギリス育ちのガンビア人・ガンちゃんに聞いてみます。同様に漫画を見てもらいますが、
え~っと、ここ説明して。
It’s cursory.
これどういうコト?
と、やはり cursory が引っかかると言われ……そんなに変に聞こえるんでしょうか。
台湾で冷たいデザートを頼んだら温かいシロップに氷の塊を(以下略
はあ、なるほどな。
それなら、cursory じゃなくて、crude がいいんちゃう。
crude?
crude って単語は、何だか聞き覚えがありますよ。crude oil で「原油」ですよね。とは言え原油を丸暗記しただけなので crude 単体でどういう意味なのかはそもそも知らなかったんですが、
ここでの crude は「雑な作りの・荒い」の意味やで。
と教えてくれました。
後から自分でも調べてみたけど、辞書には「粗雑な」という意味で載っているのが一般的のようですね。
そや、crude を副詞にして、
It’s crudely prepared.
これがいいわ。
ほぉお。また別の表現を習いました。
♪
続いては仲良しクル先生です。
It’s cursory… むう。
全員お約束のようにこのセリフで止まりますね。
cursory は、a cursory glance(=ざっと見ただけ) とか a cursory inspection(=いい加減な検査)みたいに、cursory + 名詞 の形で使われる事がほとんどやねん。
“It’s cursory” っていう文そのものが不自然との事。
このセリフは、デザートの提供の仕方について批判してると解釈したらいい?
いや、別に文句言ってるわけじゃないねんで。ただ、日本ではあんまし見ないスタイルやなと……
繰り返しますが、ワタクシ決して台湾の文化を否定する気はないんですよ。日本人の目から見て、斬新やなっと思っただけですんで。
別にネガティブなコメントってワケじゃないんやな。ほんなら、
That’s convenient.
とか?
おっと、ちょっと変化球で来ましたね。
That’s clever.
でもいいし。
That’s a clever way of doing it.
って意味な。
皮肉めいた口調で言えば、褒めてるようで貶してる感じにもなるし……批判してるワケじゃないって事やったけど、一応。
ニュアンスはちょっと違ってきますが、実際フキダシに当てはめてみても、特に違和感ないですね。
ただ、ワタクシが思っていた「大雑把な・雑な」という日本語とは大分かけ離れてきますが。
するとクル先生は続けて、
そや、めっちゃインフォーマルやけど、
It’s half-assed.
ってのあるで。
ハイ?
ass って、おケツですよね?🍑 ハーフって事は、半ケツ……?
先生も言いながら笑っとるがな
half-assed は「真剣にやらんといい加減にやる」って意味。
後から辞書を引いたところ、一般的には「中途半端な」っていう日本語が当てられてるみたい。確かにこの単語も使えそうですが、ass っていう言葉を口にするのが何となく抵抗ありますね。
なお、クル先生的には、ガンちゃんに教わった crudely prepared はちょっとフォーマル過ぎる響きがあるらしいです。アメリカ留学経験のあるクル先生の耳には、イギリス育ちのガンちゃんの英語が堅苦しく聞こえるっていうだけの話かもしれませんが。
♪
最後は、最近少し仲良くなりつつある若いポーランド人の先生。ポーランドと聞いてワタクシが個人的に真っ先に思い付くのは作曲家のフレデリック・ショパンです。なのでこの先生のあだ名はフレデリックにします。
もう漫画を見せるのは止めにして、シンプルに「雑」というのを先生なら何と言うか尋ねてみました。
それやったら sloppy かな
辞書を引いてみると、確かに「仕事などが雑な・いい加減な」という意味で載ってました。一番最後に一番シンプルなやつ来ましたね。
何はともあれ、四人四様色んな言い方を教えてもらえて大変勉強になりました。
🍀🍀🍀🍀🍀🍀
【4コマ漫画劇場】
今回習った表現を使って漫画を描いたよ。