JJは管理人:下村が個人的に雇っているジャマイカ人の先生で、毎週土曜日に個人的にレッスンをお願いしていますが、某オンライン英会話スクールでも講師として教えています。
少し前に日本人の生徒さんと神社仏閣について話した際、お守りの話になったらしいのですが、ジャマイカにも guard ring と呼ばれる指輪があるそうで……訳すなら「守りの指輪」ですかネ(RPGのアイテムに出てきそう)。それは日本のお守りに似て、厄除け・厄払い或いは魔除け的な意味合いがあるんだとか。そういやJJも指輪はめてるなぁ。
宗教に詳しい方には常識なのかもしれませんが、キリスト教では偶像崇拝が禁止なのですよね。要は、神様のご加護は直接神様ご本人からやってくるものなので、銅像や似顔絵・更にはお札やお守り等というアイテムにいたるまで、それら”モノ”自体には何のパワーもない、と教えられるらしい。むしろ、キリスト教以外のそういう不思議な力は全部悪魔的なものという扱いで、排除の対象なのだという。
十字架を身に着けてる人もいるけど、特にお守りっていう意味合いがあるわけではないそうです。
信心深いから十字架を持ち歩くってワケでもないで。強盗でも十字架ぶら下げてたりするもん。
と言って笑かしてくれるJJ。
♪
ジャマイカの人々の大半はかつて奴隷貿易で連れてこられたアフリカンの子孫なので、文化のルーツもアフリカにあります。厄除けの指輪も、そもそもはアフリカの魔術に由来するようです。
そそ、面白い事にアフリカでは「魔術」って未だに結構信じられてるんですよね。マダガスカルのピカチュウ先生も当たり前のように信じていて、時々魔女の話をしてきます。最初は茶化してしまっていたけど、目がマジなので笑えなくなりました。
更に「魔術」って聞くとどうもその言葉の持つニュアンスにネガティブな響きがあるというか、人を呪ったり祟ったりするのがメインというイメージですけど、単に権力者たち(=熱心なキリスト教信者が多い)のネガティブキャンペーンのせいでそういう印象操作がされているだけで、人を幸せにするために使われる事も勿論あるし、決して負の要素ばかりではなく、結局はどう使うか次第なのだとか。
JJ的には、ジャマイカという国ならびに政府が、自分たちを奴隷として支配したイギリスから持ち込まれたキリスト教を優遇・尊重し、自分たちの本当のご先祖から受け継いだはずのものであるアフリカ起源の文化の迫害を容認している現状がどうにも解せないのだそう。
ワタクシ、ジャマイカのタブロイド紙ジャマイカ・スターのコラム欄:“Tell me, paster”が好きで一時期よく読んでたんですが、これは新聞や雑誌のお悩み相談みたいなコーナーで、そのお悩みに回答するのがキリスト教の牧師さん(paster)なのです。
大半の相談は二股やら不倫やらレイプやらで、
ジャマイカの倫理観大丈夫か?
と深く心配になったりもしたけど、その中に
呪いをかけられたかもしれません
変な術にかかっている友達を助けたい
といったような、魔術に関するお悩みもたま~に混じってたんよね。
一度そういったお悩みを相談してきた読者にブチ切れてる神父さんがいて、真剣に困ってる人に対してこの攻撃的な態度は一体何なんやって結構ショックだったんですけど、要はキリスト教はそういった魔術なんかの存在を根っから否定しているので、呪われただの祟られただの言う人は「世間を惑わす詐欺師」という扱いをされるわけですね。
結局は植民地時代にイギリスがこの国にキリスト教を持ち込んだと同時に、アフリカから持ち込まれた習慣は悪・魔術的なものを信じる者は異端者って扱うようになった……その倫理観が未だにまかり通ってんねん。
と苦々しそうに話すJJ。
They did a number on the region.
ほ?
the region はジャマイカ・或いはジャマイカを含むカリブ地域の事を指すんでしょうけど、a number って「数」?
「彼ら(イギリス人)はこの地域に数をしました」……はにゃ!?
これは、do a number on~ っていう決まり文句を知らないことには、意味を推測するのはちょっと無理がありますね。
調べてみたら「~にダメージ・屈辱・損害を与える」みたいな感じのスラングのようです。JJは
イギリス(の統治)のせいでこの地域は大打撃やわ
って、自分たちのルーツが軽んじられている現状を嘆いていたというわけね。
ちなみに、一応お断りしておきますがこの記事で指す「キリスト教」は、ジャマイカで信じられているそれであって、他国のキリスト教や別の宗派ではまた全然状況が違ってくる可能性がありますのであしからず。
🌳🌳🌳🌳🌳🌳
【4コマ漫画劇場】
今回習った”do a number on~”を使って漫画を描いたよ。